頑固な肩や首こりがあり手や腕にしびれが起こります。手にしびれが起きやすい頚椎ヘルニアは片側の腕や手にしびれがほとんどですが、両側の腕や手がしびれがあるときは胸郭出口症候群が疑われます。
吊革や物干しなどで手を挙げた時にしびれやだるさが強くでます。また進行すると手の握力低下やこまかい作業が困難になります。顔の横に両手を挙げた状態でグーパー運動をすると3分間もしないうちにしびれてきたら胸郭出口症候群の可能性が高いでしょう。
ストレートネック、なで肩、猫背の方に多くみられスポーツでの野球、バレーボール、バドミントンなど投球動作を繰り返すことで胸郭出口症候群になりやすくなります。またデスクワークでの顔を前に突き出した姿勢や猫背でも起こりやすくなり、特に胸郭出口症候群は20代30代の女性に多くみられます。
こういった事がありましたら胸郭が狭くなっていると言えます。
鎖骨下の血管、神経が圧迫されていますから、そこを開けばよいので胸を開くような施術で改善することが出来ます。胸を開き胸郭出口が広がれば姿勢もよくなり、肩こり首こりが起こりにくく呼吸もしやすくなります。
鎖骨、第1肋骨の間には首から腕や手に向かうたくさんの神経や血管が通っています。その部分(胸郭出口)が猫背などの姿勢不良により、狭くなることで血管や神経が圧迫され、しびれや痛み、筋力低下が起こります。この神経、血管の通る狭くなった出口を広げることが出来れば改善されます。
まずは姿勢を見直すことが必要です。最近ではデスクワークのパソコンを多く使う人に症状が多く現れやすいので、猫背で腕を長時間前に出していると肩がすぼんで胸郭が狭くなることで症状が出てきます。なるべくパソコンをするときは体の近くで操作することが重要です。
手首の手のひら側には骨と靱帯でできたトンネルのような部分があり、これが「手根管」で中には神経と腱が通っています。何らかの理由で手根管の中の神経が圧迫されると親指、人差し指、中指、薬指の半分までの範囲の痛みやシビレが生じます。
手を振ると楽になります。手根管症候群は初めのうちは朝起きた時に手を握るとシビレが出るが、次第に常時シビレが起こるようになり、細かい作業がしにくくなったりします。進行すると親指の母指球(付け根のふくらんだところ)の筋力が低下し、ものが掴みにくくなり感覚が鈍くなります。夜間にも痛みやシビレが起こります。
手根管の上(手の関節の真ん中)を叩くと指先にシビレを感じたり、手首を掌側や甲側に深く曲げるとシビレが悪化したりします。両手の甲側を合わせて15秒程キープして痛いやシビレが強くなったら手根管症候群の可能性大。
手根管症候群はホルモンバランスの変化が多い女性に比較的多く発症します。特に手を使う50~60代の女性に多いですが、手作業が多い男性にも起こります。若い男性では、生れつきの手の中の筋肉の造りが原因の一端になるなど、さまざまな素因があるが、最終的には「手根管」の中で指を曲げるのに必要な屈筋腱が腱鞘炎を起こすことが発症の引き金となります。
ある程度回復するまで仕事や家事で手に負担がかかるような作業は控える必要があります。手根管の中に神経や腱が圧迫されないように手首と肘の関節の調整が必要になります。
また手根管症候群や腱鞘炎は腰痛や膝痛がある方に発症しやすく、腰や膝、股関節などをかばうことで体全体を使わずに手だけで作業してしまい手首などに負担をかけた結果であることが良くありますので腰や膝を整える必要な場合も多いです。また手のシビレは頸椎ヘルニアなど頚椎が原因になっていることもあります。
肘の少し内側をぶつけて小指の先がしびれた経験は誰にでもあると思いますが、そこが「肘部管」で骨に囲まれて尺骨神経が走っています。肘部管で尺骨神経が 圧迫されると小指、薬指の半分がシビレ、徐々に小指と薬指の握る力が低下してきます。
肘部管症候群の症状が進行するとキーボード操作、利き手なら字を書いたり箸を使うときも不自由を感じるようになります。肘を90度に曲げたあたりからシビレますが、顔を洗う、食事をする、服のボタンを留めるなどの日常生活で支障をきたします。
安静にしていてもなかなか改善しにくい疾患ですので、手作業に違和感を感じたら早めに肘を整えることが必要です。
肘部管を軽く指ではじくと指先まで痛みやシビレが走ったり、肘を深く曲げたり、屈伸を繰り返すとシビレが増すことが目安になります。筋力低下は指を大きく広げたときの広がり具合や筋肉の張り具合、指の間で紙を挟む力の左右差を比較すると分かりやすいです。
大工仕事など振動道具を長く使っている男性に多く見られます。仕事やスポーツでの過剰な負荷が肘にかかることや過去の怪我、肘の変形など様々です。
肘から手首までは二本の骨が平行してあります。親指側の骨が橈骨で小指側が尺骨です。肘関節はこの二本の骨と上腕骨のバランスが大切です。
①上腕骨と尺骨のバランス:
上腕骨と尺骨のバランスが崩れると肘が伸ばしにくくなります。伸展での瞬間的な調整になります。
②上腕骨と橈骨のバランス:
上腕骨と橈骨のバランスが崩れると肘が曲げにくくなります。曲げた状態での調整になります。
③ 橈骨と尺骨のバランス:
橈骨と尺骨のバランスが崩れるとドアノブを捻ったり、蓋をあけたりする動作が困難になったり、手首側のバランスが崩れると手首の腫れや痛みにもなります。手首の関節の故障に思われるが橈骨と尺骨のバランスのバランスをとることが重要になります。
変形性肘関節症は肘関節の軟骨が壊れることで骨同士が直接ぶつかり、炎症を起こし痛みの症状が現れます。また肘関節に水がたまり腫れるように(関節水腫)なることもあります。骨同士が触れ合うことで骨の棘(骨棘)ができると肘の可動範囲が狭くなったり、棘が折れたり軟骨のかけらが関節に引っかかることで激痛になることもあります。
初期には投球動作などの肘に負担をかける動作をしたときにだけ起こりますが、進行すると安静時にも痛みを感じるようになってきます。進行するにつれて肘を曲げたり伸ばしたり出来なくなるという症状が起こり、洗顔や食事、着替えなどの日常生活に支障が出ます。
また引っかかるような違和感が生じる「ロッキング」という現象が起こると、腕がある角度で動かなくなったり固まった状態のなることで激痛が起こることがあります。ロッキングは少し動かしていると引っかかっていた骨棘の一部や軟骨のかけらが外れ動くようになるが、それを繰り返していると肘の内側を走る尺骨神経が障害されて小指と薬指にしびれや握力低下などが起こってきます。
変形性肘関節症は自然に戻ることは望めませんので、症状がある人はなるべく早い段階で対処が必要です。
労働やスポーツによる腕の使い過ぎが最も多い原因です。その他に怪我や打撲、多発性関節症などの病気や橈骨頭脱臼などの先天性の異常が原因となることがあります。重いものを持つなどの理由で女性より男性のほうが多いです。中高年に発症する確率が高いがスポーツをしている若者でも多い。
肘の関節は上腕骨、尺骨(小指側の骨)、橈骨(親指側の骨)があり、①腕尺関節(上腕骨と尺骨)、②腕橈関節(上腕骨と橈骨)、③近位橈尺関節(肘側の橈骨と尺骨の関節)という3つの関節を形成しています。関節には軟骨が覆われていて骨同士がぶつかり合わないようにクッションの役割をしています。
この3つの関節のバランスが悪くなり血流が滞ることで軟骨は潰れ、痛みや可動制限になります。肘関節のバランスをとることで血流を回復させることが治療の目的になります。
① 上腕骨と尺骨のバランス:
上腕骨と尺骨のバランスが崩れると肘が伸ばしにくくなります。伸展での瞬間的な調整になります。
② 上腕骨と橈骨のバランス:
上腕骨と橈骨のバランスが崩れると肘が曲げにくくなります。曲げた状態での調整になります。
③ 橈骨と尺骨のバランス:
橈骨と尺骨のバランスが崩れるとドアノブを捻ったり蓋をあけたりする動作が困難になったり、手首側のバランスが崩れると手首の腫れや痛みにもなります。手首の関節の故障に思われるが橈骨と尺骨のバランスのバランスをとることが重要になります。
※ 頚椎ヘルニアなどの頚椎がシビレに影響している場合は優先して頚椎の調整をします。
投球動作に伴う慢性的な肘関節の痛みの総称。非外傷性の慢性疾患で「投げると痛い」という投球を障害する症状をいう。痛みは組織の炎症や骨・軟骨の変化、神経障害などさまざまで発症し肘の内側、後方、外側など傷む部位によっても異なる。
1.内側型
①上腕骨内側上顆炎
②内側上顆骨軟骨障害(含リトルリーグ肘)
③尺側側副靭帯損傷
④その他
2.後方型
①肘頭先端・内側及び肘頭窩骨軟骨障害
②疲労骨折(肘頭骨端線部、肘頭、内側顆上部)
③その他
3.外側型
①上腕骨外側上顆炎
②離断性骨軟骨炎(含関節遊離体)
③滑膜ヒダ障害
④その他
4.神経障害型
①尺骨神経障害(肘部管症候群)
②円回内筋症候群
③その他
5.変形性関節症
6.その他
投球動作において肩の痛み、不安定感、脱力感を生じパフォーマンスが障害される病態の総称で、組織損傷としてスラップ損傷、腱板損傷、ベネット損傷、上腕骨近位骨端線損傷、前方不安定症などがある。そのうち関節唇という組織が壊れるスラップ損傷は代表的な疾患ですが実際には複数の病変がある場合が多い。
まず投げすぎや練習のし過ぎだが、痛くなる直接的な問題として体の歪みがあります。投球動作は全身運動ですが練習のし過ぎで体が偏ってくることがあります。特に胸椎部の曲がり、肩甲骨の位置左右差、骨盤の歪み、足の左右差などから体が傾きスムーズな投球動作が出来なくなり関節に負担がかかりやすくなります。
そこで練習を過度にやるとさらに肩や肘などの関節が損傷しやすくなります。また野球肘や野球肩になりやすい時期は小学校高学年から高校生にかけてですが、成長期はまだ骨が柔らかく未成熟だから過度な練習は傷めやすくなります。成長期の肘や肩の骨のなかには、そこから骨を伸ばして成長させていく骨端線という軟骨組織があります。
つまり成長期は骨と骨の間に軟骨が挟まれているため、ストレスに弱く痛みもその軟骨部分で出ることが多い。
日本臨床スポーツ医学会の提言は、小学生が一日50球以内で週に200球以内。中学生が一日70球以内で週350球以内。高校生が一日100球以内で週500球以内。
●肩甲骨の左右差
●胸椎部の歪みや強張り
●骨盤の歪み
●足の筋力や張りの左右差
これらの歪みがあると体のバランスが崩れ、肩がスムーズに上がらなくなったり関節の可動範囲が狭くなったりして、投球動作がスムーズに行われなくなり肩や肘を傷めやすくなります。また痛みが出たら無理をせずに投球動作は休むことが大切です。無理をすると、さらに悪化して手術が必要になったり痛みが繰り返しやすくなります。
デスクワークや家事や育児でも腕を酷使していると思いますが腕は肩、首の筋肉と連動していますので使い方によっては腱鞘炎、肘痛、肩こり、首こりや頭痛の原因にもなります。
腕の内側の屈筋と言われる筋肉(日焼けしない側、力こぶが出る側)を使うと疲れます。例えば買い物袋を肘辺りにかけてあ持つときは、手のひらが上に向くと屈筋が使われますので疲れます。
手のひらを返すと屈筋はあまり使われないので疲れにくいです。さらに指を開くと力が抜け疲れません。この屈筋は首の筋肉と連動して腕から首までの筋肉がコリやすくなり頭痛にも発展することもあります。
腕の疲労から腱鞘炎になることはよくありますが肘も疲れやすいところです。肘まで疲れを感じる時は頭への血行も悪くなっていますので頭痛や吐き気なども出ます。
親指をギュッと握り継続して使うと腕や首がとても疲労します。
字を書くときや包丁でもかばんでもなんでも、親指の第一関節を曲げて力一杯握る方は腕が非常に疲れやすくなり首や肩コリも強く出ます。
手の平の親指の付け根を押して硬かったり痛かったりすのは力の入れ過ぎかもしれません。また親指を強く握ると手首や肘関節がロックされますので関節に負担がかかりやすくなり、肘痛、腱鞘炎などの関節の痛みにもつながります。
スポーツでも親指の力でギュッと握ってラケットやゴルフのスイングをしていると関節の動きが悪い状態での負荷がかかりますので傷めやすくなります。親指の力は強いと思っている方も多いと思いますが、実は小指側で持ったり握ったたりするほうが安定し楽に力がでます。親指は親指の腹で抑えるくらいでいいです。
親指で握ったり引っ張ると猫背になり力が出しにくくなり、小指側で握ったり引っ張ると背筋が伸び、丹田に力が入りますので重心は安定し力が出せます。「腰が入る」状態です。この腰が入っている状態での動作が美しい動作を生みます。
考え事をするときにペンを握ったままではいい発想は出にくいです。筋には筋紡錘という感覚器があり緊張している間は大脳へ信号を送り続けるので頭を休めるには筋を緩める必要があります。ペンを置いて腕の力を緩めると頭が休まるのでいい発想が出やすくなります。
デスクワークや勉強で腕や頭が疲れたら肘湯が効果的です。入浴温度より2、3度高くした湯に肘が隠れるくらいまで浸けて4分間おきますと腕と頭の疲れが抜けます。勉強疲れした子供にもよいです。親指と頭は関係が深いので言語障害がある時は親指の運動をするとよいです。失語症や脳の病気で言葉がうまくでない人たちに親指を使わせるとよいです。言葉が遅い子供は親指の動きが悪い傾向があり、なるべく使わせるとよいです。