腹筋
腰痛になり腹筋を鍛えるように言われた事のある人は多いと思いますが、残念ながら腹筋を鍛えても腰痛はよくなりません。逆に腰痛が悪化してしまうことも少なくありません。
筋肉がムキムキのアスリートでも腰痛持ちはたくさんいます。腹筋するとお腹の筋肉は縮まりますが、拮抗筋である背中の筋肉は伸ばされます。
腰痛のほとんどの場合は腰の筋肉が伸ばされた状態です。物を拾うときや洗面台や台所などで前屈みになっているときなど痛みが増す時は、腰の筋肉が強く伸ばされたときです。
腹筋が縮まることで胸は下がり呼吸も浅くなり猫背になりやすいです。猫背は背中の筋肉が慢性的に伸びていますので腹筋をすることで猫背はひどくなり、肩こり、背中の張り、腰痛は悪化する原因になります。腰の筋肉を緩めるには胸を張ることが重要です。
本来お腹は丹田と言われる下腹部はある程度の弾力は必要ですが、柔らかいほうがいいのです。お腹が硬いと身体の緊張が抜けない疲れが取れにくい身体になってしまいます。ちなみに膝を曲げたり、起き上がる力は腰椎から股関節・骨盤に付着するインナーマッスルの腸腰筋です。腰椎を支えているのはお腹ではありますが腹筋ではなく腹圧です。
腹圧というのは横隔膜より下の部分で腹腔内の事です。腹式呼吸(息を吸った時にお腹がふくらみ、吐いた時にしぼむ)をするとお腹がふくらみますが、その圧力が腹圧と考えていいと思います。腹圧がしっかりしていないとタイヤがパンクした時のように体を支えることが出来ずに腰痛になります。背骨を支えているのは腹圧です。
ストレッチ
腰からおしり回りや足にかけてのストレッチは適度であれば有効ですが、やり過ぎは腰痛の悪化の原因になります。緊張している張った筋肉を無理なストレッチをしたらどうなるか?
例えばゴムチューブを引っ張って伸ばすと、チューブは潰れて内径が細くなりますが、これと同じ事が血管にもおきます。血管が潰れて血流が悪くなれば痛みやシビレが悪化します。ポイントは伸ばしたい筋肉を意識してちょっと伸びたなくらいで戻し、あまり長い時間伸ばさない事です。無理なストレッチは筋繊維を壊し腰痛には逆効果になります。
痛み止め、湿布、アイシング
湿布や消炎鎮痛剤(痛み止め)の主な作用は「血管を収縮させる」事なので血管が収縮すれば一時的に腫れが引き、腰痛がおさまったように感じますが、痛みを感じにくい鈍い体になっているだけです。血流が悪くなるので組織の修復の妨げになるので腰痛の治りは悪くなります。
冷却も同じで血管が収縮して血流が悪くなるので痛みに鈍感になっているだけです。特に腰を冷やすと冷えに弱い腎臓が冷え全身が冷えてしまいます。
痛み止めを飲んで「胃がやられた」という話は良く聞きますが、この時に他の粘膜が破壊されていると考えていいと思います。都合よく腰痛にだけ効くわけではありません。常用する事は病気の原因になります。
マッサージ
緊張して張っている筋肉は「縮んで硬くなっている」状態をイメージする方もいますが、実は乳酸などの疲労素を溜め込んでパンパンに膨張している状態がコリです。
緊張した筋肉は体の歪みにより筋肉がアンバランスになった筋肉で、慢性化すると腰痛などの痛みに変わっていきますが、その原因である歪みを改善せずに張った筋肉や腱を強揉みでゴリゴリしごいたりすれば、筋肉内の微細な血管が破れて内出血を起こす為あとで腫れてきます。
これが「揉み返し」で痛みや腫れ、炎症、関節運動の障害など生じます。強揉みを受け、翌日皮膚が紫色になっているのは筋肉内の血管が内出血した証拠です。このような強揉みを繰り返すと筋肉や皮膚は硬化してきて、さらに強い力でないと満足できない体になってしまいますので腰痛は慢性化してきます。
緊張した筋肉や腱はピーンと張ったロープのようなもの。ピーンと張ったロープをゆるめるには引っ張っているものを元の正常な位置に戻してあげればいいので、ロープ自体には何もする必要がありません。もしロープ(筋肉)を強揉みすればロープ(筋肉)が痛むだけです。強い刺激のマッサージは逆効果です。
安静・コルセット
骨折しギブスを一カ月も固定すると関節の機能が著しく低下し、リハビリが大変になりますが、腰の固定すると同じような事がい起きます。コルセットに頼っていると腰回りの筋肉が衰え、コルセットを外すと安定せず不安になり外せなくなってしまいます。人間の体は使えば強くなりますが、使わない筋肉はあっという間に衰えてしまいます。
安静にし過ぎもまた筋肉が衰え、足腰の血流が悪くなりますので少し無理をしてでも体を動かしたほうがいい場合が多いです。ぎっくり腰も動けるなら動ける範囲で動いていたほうが回復は早いです。
体の冷え
冷えは血行不良で手足に冷えを感じることが多いですが、腰周りだけが特に冷えを感じることがあります。特に女性に多く女性の場合は自律神経失調症やホルモン分泌障害、ストレスの影響を受けて血流が悪くなり手足だけではなく腰にまで影響が及び、腰の冷えから腰痛になるとされています。
整体では
腰椎・骨盤の歪みによる冷え
冷えは血流の問題で神経が血流をコントロールしています。腰が悪いと足やおしりが痺れる事がよくありますが、腰の異常で神経の通りが悪いことで血流が悪くなり冷えを感じます。
また特に女性は骨盤が妊娠・出産だけではなく生理でも骨盤が開閉しますので、歪みによりスムーズに開閉が行われないと循環が悪くなり冷えや突っ張り感や痛みを感じます。仙腸関節という仙骨と腸骨の歪みがあるとおしりや腰に冷えを感じやすくなります。
内臓の影響による冷え
内臓の働きが良くないときに冷えを感じることがあります。内臓の働きが悪くなる原因は肉体的や精神的など様々です。ストレスがかかると胃が痛くなったり便秘したりしますが、特に胃腸は精神的なストレスの影響を強く受けます。女性は生殖器の異常により冷えや痛みが起こることがあります。
足からの影響による冷え
足の冷えがひどくなると徐々に上に冷えが上がってきてお腹や腰が冷えることで腹痛や腰痛を感じることは多いです。特に時間帯で冷えこみ始める秋はこういった腰痛が増えてきます。
また足首の影響で腰回りの冷えや腰痛になることも多く特に女性は足首の影響が強いです。捻挫が原因で骨盤が歪み、腰痛や生理痛がひどくなることも多いですが、捻挫は時間がたつと治りにくくなってきますので、ひどい捻挫は整体などでなるべく早く処置をしたほうがよいです。
整体では腰や骨盤、足首の歪みは整えていくことで下半身が冷えにくい状態にします。
自分でケアするときは、少し熱めで足湯や腰への蒸しタオルが効果的です。蒸しタオルは3~4回冷めたらまた温めて腰にあてるのを繰り返します。体全体より部分的に温めたほうがよいです。
台所での姿勢
前に重心がかかると腰(特に腰椎5番)に負担がかかりますので足を前後して、後ろ足カカトに体重をのせれば腰の負担がグッと減り腰痛になりにくいです。
後ろ足のカカトに体重がのっていれば腰を曲げても大丈夫です。ただし背中を丸めて曲げないように!股関節から曲げるようにするとよいです。
前足に10㎝くらいのものを入れると自然に体重が後ろにかかり腰が楽で腰痛になりにくいです。
腰痛になりにくい荷物の持ち方
肘にかける
荷物をヒジにかけて持つ時は、手の平を返すだけで楽に荷物が持つ事が出来るので体の負担が減ります。余計な筋肉を使いません。腰痛や首肩こりになりにくくなります。
屈筋という内側の筋肉を使うと疲れます。手を返すと屈筋があまり使われなくなりますので疲れにくくなり姿勢も安定しますので、腰痛になりにくくなります。
持ち方
バックを持つ時は、小指側の3本で引っかけて持ちましょう。親指と人差し指でグッと握ると腕から首まで緊張して非常に疲れます。
握らずに小指側3本で引っかけるように持つと余計な力を使わずに楽に持てます。腰の負担も軽減します。人差し指と親指は伸ばして握らないように。握らずに引っかけるだけ!
肩のかけ方
肩に荷物をかける場合は、肩先(肩甲骨の平なところ)にかけると体を傾ける事なく腰痛になりにくくなります。
よく肩にバックを掛けている側の肩が下がると心配している人がいますが、そんな事はありません。掛けている側はバランスをとるために上がっているはずです。
座り方
長座(足を伸ばして座る)や横座り(足を横へ崩して座る)は骨盤を歪めます。特に横座りは骨盤、背骨が大きく歪み、腰痛や股関節痛の原因になります。
腰痛の方は腰が沈むような柔らかいものに座らないようにしましょう。ポイントは股関節が膝より高い位置にある事です。そうする事で背筋が丸くならずに腰の負担が減ります。
下に座る時もおしりに10㎝くらいのものを敷くと楽ですので腰痛になりにくくなります。